深層流を読み解く投資家 成毛眞

大人げない大人こそが成功する

元マイクロソフト日本法人社長、現在は株式会社インスパイアでコンサルティングやベンチャー企業への投資などを行っている成毛眞氏。世界を知り、日本を知り、そしてITの最先端を知り尽くした成毛氏は、現在の経済状況や中小企業を取り巻く環境、また今後の展望をどう見ているのか。その中で、私たちがやれること、やるべきことは何なのか。「大人げない大人になれ」と言う成毛氏の、辛らつかつストレートな表現から、今後の進むべき道が見えてくる。

少子高齢化が生み出す暗い影

――景気回復の糸口が見えない状況が続いています。今後の日本経済はどのようになるとお考えですか?

まったくダメだと思います。二番底、三番底があると言う人がいますが、そのような次元の問題ではありません。50年~100年という超長期で低迷するだろうと考えています。
最大の問題は少子高齢化です。2030年には65歳以上が人口の3分の2を占めると言われています。そのようになったら、モノを買う人口が極端に少なくなるわけですから、経済は低迷するとしか考えられません。

65歳をこえた人が、あえてアルマーニのスーツを着たり、ポルシェを買ったりしません。この年齢では、銀行も住宅ローンを貸しませんから家も買えません。そのような人たちが人口の3分の2になったら、経済は厳しくなります。

――少子高齢化が進めば、当然税金負担も高くせざるをえません。

1人の若者が2人の高齢者を支えることになるわけですから、税金を上げざるをえないでしょう。財源を増やす魔法はありませんので、ほかに手はないかもしれません。

――消費税の税率も上がっていくということになりますね。

消費税というのは、高齢者から若者へとお金を流すシステムです。年金に税金をかけられないので、所得のない高齢者からどうやって税金を徴収するかといえば、もう消費税しかないわけです。若者や企業から税金を取りすぎると、海外へ逃げられてしまいます。
これは日本だけの話ではありません。どの国も働かない人から税金を取るしかなくなってしまったのです。消費税率が高い諸外国では、このような理由があるのです。

――今の不況は、企業が消費者をないがしろにしてきたツケだと言う人もいますが…。

日本経済という意味では関係ないと思います。人口の問題です。高度経済成長期というのは、若者が多かったから実現できたのです。団塊の世代の人口が多かったからです。どのような国も歴史的に見れば、人数が増えているときに経済が伸びています。そして、人数が減ると落ち込みます。歴史上ではどの国も同じです。

成長する会社にしない限り必ずつぶれる

――立ち直るきっかけはないですか?

難しいです。経済全体についてならば、厳しいと思います。しかし、個々の会社は別で、いい会社も出てくると思います。ただ、経済全体が縮小しながらいい会社が出るということは、ほかの会社が今以上にひどい状態になるということです。

経済全体が小さくなっていくなかで、1割の会社が高収益を上げたとすると、残りの9割は壊滅的な打撃を受けることになります。
「生き残りを賭けて」という言葉が、たとえではなく、本当の意味で使われることになります。いい会社にならない限りは、生き残ることができない世の中になります。

――特に中小企業は、生き残るにはどのようにすればいいですか?

成長する会社を作らない限りは必ずつぶれます。身を縮めていたのではダメなのです。全体がうまくいっていた時代は、ぼうっとしていてもとりあえず生き残ることができました。大金持ちになる人ととりあえず生き残る人に分かれたのです。マクロ経済が悪いときは、成功する人といなくなる人に分かれます。

――高収益企業になるためのヒントはありますか?

それは個別の業種によって違いますから、一概には言えません。例えば、ゼネコン関係はかなり難しいと思います。生き残る方法が考えつきません。公共事業はますます減り、高齢者は家を買わないです。ゼネコン、土木関連は厳しいと思います。
1,000社に1社くらいは、いい会社が出てくるかもしれません。でも、どうすればそうなれるのかはわからない。わかっていたら、私がやっていますよ(笑)。

注文住宅のアキュラホームなど、成長していきそうな会社はあります。中小の大工さんのネットワークをコンピュータでシステム化し、いままで外溝屋さんがやっていたようなことまでまとめて受注するようなシステムです。このような会社は例外ですが、このような勝ち組に乗って行くという手はあります。

――今までなかったような視点が必要になりそうです。視点という意味では、世界に目を向けるというのはどうなのですか?

例えば、日本は少子高齢化ですが、アジアという視点で見れば、まだまだ人口増が見込めます。
逆に言えば、もうそれしかないですね。縮小するだけのマーケットに固執する理由はないですから…。

全体経済は50年~100年単位で低迷すると言う成毛氏。中小企業が生き残るためには、成長を続けるほかはないと断言しています。次回は、日米欧の中小企業経営者の考え方の違いについて語っていただきます。
投稿日:2010年3月31日
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