ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長 出口治明|たまごが立たないコロンブスたちへ!

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還暦のベンチャー起業家 ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長 出口治明

理想の生命保険会社を手作りで作りたかった

保険金不払い問題、金融危機に伴う世界同時不況……保険業界を取り巻く環境は決していいとは言えなかった。そんな中、還暦を迎えた一人の男が、理想の生命保険会社を立ち上げた。社長の出口治明は言う。「自分に正直に、誰にでもきちんと説明できる理想の生命保険会社を作りたかった。」 原価開示など、業界でタブーとされてきたことに積極的に取り組み、支店も営業マンも置かずにインターネットで保険を販売することで、保険料を半額程度にすることに成功した。起業と年齢は関係ないと断言する出口社長の起業哲学に迫る。

戦後初の独立系生命保険会社誕生

――ライフネット生命保険について教えてください。


ライフネット生命保険は、2008年5月に誕生した独立系の生命保険会社です。どこの子会社でもない、完全な独立系の生命保険会社は日本では戦後初です。特長は、基本的に営業マンがいないことです。インターネットのウェブサイトから、お客様がご自身で保険プランを立てて、お申し込みいただいています。もちろん、ご相談やご質問にお答えする体制も整っています。

――支店を構えたり、営業社員を置いたりせず、インターネットでの販売に特化したことで、保険料を格安におさえることに成功したわけですね。

加えて、現在扱っている商品がシンプルな死亡保険と医療保険のみですので、それも保険料をおさえる要因になっていると思います。

――大資本の傘下に入らず、独立系にこだわったのにもわけがあるんですか?

やはり、どこかの子会社ですと、やりたいことがあっても親会社が「ノー」と言ったらできません。それでもやりたいと粘っても、私のクビが飛ぶだけです。
「保険料を半額にしたい」「保険金の不払いをゼロにしたい」「生命保険商品の比較情報を発展させたい」という3つのビジョンを実現したいと思って立ち上げたわけですが、これはまったくの白地に絵を描くように会社を作らないと難しい、と考えました。

出会いは決して劇的ではない

――出口社長は現在61歳、ライフネット生命保険を立ち上げたのが60歳のときということで、“還暦のベンチャー起業家”なんて言われていますよね。一般的には「独立は35歳までに」なんて言われることもあるのですが、60歳での起業ということについてご自身はどのようにお考えなのでしょうか?


年齢のことはよく言われるんですが、自分ではあまり考えたことはないんです。「天の時、地の利、人の和」なんて言葉がありますが、チャンスがいつ来るのかなんて、誰にもわかりません。35歳までにチャンスが来た人はそのときにチャンスをつかまえればいいし、私のように還暦でチャンスが来た人はそのときにやればいい。
凧揚げと同じようなもので、そのとき風が吹いていなければ、どんなに一生懸命走っても揚がらないんです。でも、いつ風が吹くかなんて誰にもわかりませんよね。いつ吹くかどうかと、その人の物理的な年齢とは何の関係もありません。

――なるほど。凧揚げとはすばらしい喩えですね。そもそも、起業のきっかけや経緯はどのようなことだったのでしょうか?

2006年の3月頃だったと記憶しています。当時、大学卒業以来勤めてきた日本生命を退職し、その子会社で働いていました。そこに20年来の友人である、当時、朝日ライフアセットマネジメントの社長をされていた伊佐誠次郎さんから電話がかかってきたのです。
「知人が生命保険に詳しい人を探している。生保の現状について、少し話してやってほしい。」ということで、あすかアセットマネジメントリミテッドの谷家衛さんという人を紹介されました。
谷家さんと会い、そこで生命保険業界が抱えている課題についてごく手短にお話しさせてもらったところ、「こんなに保険に詳しい人に会ったのは初めてです。一緒に保険会社を作りましょう。」とその場でお願いされました。あまりに唐突だったので「いいですよ。」と即答してしまいました(笑)。

――大きな決断のようですが、意外にあっさりだったのですね。

大事な決断とか、大事な人との出会いって結構そんなものじゃないでしょうか。奥さんや旦那さんとの出会いがものすごく劇的だったなんていう人が、世の中にあまりいないのと同じです。
大抵は何となく出会っているはずです。重要な出会いはいつでもドラマチックだなんていうのは虚構です。

インターネットで保険を販売すれば必ずうまくいくと思った


――その後、どうなったのですか。

私がOKすると、谷家さんは「明日からすぐに始めますが、何が必要でしょうか?」と質問されました。私は「パートナーが必要ですから、若くて保険業界を知らない人を紹介してください。」と言いました。要するに、私にないものを持っている人を紹介してほしいとお願いしたわけです。
それで紹介されたのが、現ライフネット生命保険副社長の岩瀬大輔です。彼は当時、ハーバード大学のビジネススクールに留学中で、彼が帰国するまでに私がビジネスプランを詰めておくということになりました。

――もともとビジネスプランがあったわけですか?

日本生命に長くいましたから、ここはこうした方がいい、あそこはああしたらよくなるというのはありました。基本は先ほどの3つのビジョンと、インターネットを使って保険商品を販売するというものです。


――保険をインターネットで販売するという発想はどこから出てきたのでしょうか?

これはもう、少子高齢化社会がやってくるということがわかっていましたから、これしかないと。少子高齢化ということは、お客さんが減っていくということです。営業マンが販売するというやり方ではうまくいかないだろうとずっと前から思っていました。
支払う保険料の数十パーセントが営業マンの収入になるわけですから、それを削れればお客様の保険料を安くできるわけです。これを実現できるのが、インターネットで販売するという方法です。インターネットで販売すれば、必ずうまくいくだろうと思っていました。

出口社長は、偶然自分に吹いてきた風を上手に掴んで、凧を揚げることに成功しました。
次回は保険業界の問題点と、ライフネット生命保険はそれをどう改善しようとしているのか
について語っていただきます。

<続く>

インタビュアー:越石 一彦

会社概要
「たまごが立たないコロンブスたちへ!」とは
目指せば、社長は誰でもなれる時代…。
でも、社長には、必ず苦難の壁が立ちふさがります。 そのような壁を乗り越え、輝く成功をつかみ取った社長たちの物語に、カリスマ顧問の越石一彦が鋭く迫ります。
取材先からのお知らせ
プロが入りたい保険 第1位に選ばれました

 

おかげさまで、ライフネット生命の「かぞくへの保険(定期死亡保険)」が2つのメディアで第1位を獲得いたしました。

株式会社ダイヤモンド社発行「週刊ダイヤモンド」
2009年3月14日号特集企画「保険のムダ 総点検」
「プロが選んだ 自分が入りたい保険ランキング」死亡保障部門 第1位
http://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2009/1607.html

日本経済新聞社発行「日経ヴェリタス」
2009年5月24日発行「生命保険を攻略せよ」
「保険のプロに聞いた入りたい死亡保障ランキング」 第1位
http://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2009/1752.html


保険商品に詳しいファイナンシャルプランナーや保険ジャーナリストなどに、「ネット直販のため、シンプルでわかりやすい商品。全般的に保険料が安い」として評価いただきました。

昨年5月に開業したばかりですが、当社の商品が、いちはやく保険のプロフェッショナルの方々から高い評価をいただけたことをとても光栄に思います。これから、一人でも多くの方々にこの商品を知ってもらい、検討していただけるよう、社員一同力をあわせて努めてまいります。

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インタビューアーの紹介
越石 一彦(こしいし かずひこ)
経営コンサルタント/函館大学非常勤講師
山一證券、メリルリンチ日本証券でトップの成績をおさめた後、コンサルタントとして独立。 のべ200社を超える企業の顧問を勤めるほか、「明日から行動が変わる実践型の研修」として、トップセールスマン研修、管理職研修を独自の理論で展開。著書に「ビジネスで成功する決め手は、パーソナルブランド」(ゴマブックス社)がある。

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