[トップインタビュー第1回]

相手の本音を引き出す会話術とは!?

2013/2/20

株式会社メリディアンプロモーション
代表取締役 牛窪万里子

インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

牛窪万里子氏

ちょっとした練習で会話は上手になれる

フリーランスの女性アナウンサーたちの仕事を管理する株式会社メリディアンプロモーションを経営する牛窪万里子社長。彼女はサントリーで働いていた時、プレゼンテーションをはじめ人前で話すことに苦手意識を感じていたという。その苦手を克服すべく、アナウンススクールに通うとめきめきと上達し、NHKのアナウンサーに転職。その後、独立起業して現在に至っている。初対面の一般人にインタビューをする番組を長年担当してきた経験から身につけたという、初対面の人でも思わず本音を言ってしまう会話術とは。また、会話トレーニング法や女性が働きやすくなるためのコミュニケーション術などについて語っていただいた。

OL時代は話すことが苦手だと思っていた

――牛窪さんはご自身がアナウンサーとして活躍されている一方、>メリディアンプロモーションという会社の社長をしていて、女性アナウンサーの方々のマネージメントを手掛けています。まずは、現在のように会社を経営するようになるまでの経緯を教えていただけますか。

大学卒業後は、サントリーに就職して、いわゆる普通のOLをしていました。仕事をはじめると、会議とか商談とか相手と話す機会が増えました。そのなかで、人前で話をすることに苦手意識を感じるようになってしまったのです。

なんとか克服できないものかと、「ケイコとマナブ」という雑誌でたまたま見つけたNHKのアナウンススクールに参加しました。

――NHKのアナウンススクールですか。

私はお客さまとの会話やプレゼンテーションの上達を目的に申し込んだのですが、そこではひたすらニュース原稿を読むレッスンでした。

いま考えれば当然ですよね(笑)。ただ、そこで自分のしゃべり方の癖であるとか、その直し方などをしっかりと教えていただきました。すると、苦手だと思っていた「人との会話」がどんどん楽しくなり、「伝わる」ことの面白さを知るようになったのです。

――苦手だと思っていたのが、実はそうではなかったと。

はい。単に会話や話し方のテクニックを知らず、改善の努力をしなかっただけだとわかりました。しかも、練習すればするほど人と話すことが楽しくなりました。上達していくのが自分でもわかり、それがまた楽しいのでさらに向上心が芽生えるという好循環が生まれたのです。

やがて、スクールの先生から「NHKの地方局でアナウンサーの募集があるがオーディションを受けてみないか」というお話をいただきました。そのままOLを続けるか迷いましたが、自分自身を試してみたいという思いでチャレンジすることにしました。それで挑戦してみたら、合格してしまいました。

――NHKのアナウンサーというお立場と、「起業」というのはかなりかけ離れたイメージがあるのですが、「起業しよう」と思われたのはなぜなのでしょうか。

アナウンサーと言っても契約社員でしたから、いつ契約解除になってしまうかわかりません。危機感はずっとありました。ですから、人脈を増やしたり、いろいろな仕事に挑戦したり、自分の幅を広げようと考えましたが、NHKというのは非常に制約が厳しいところだったのです。

普通の契約社員の場合、勤務時間以外のアルバイトは許されることが多いと思いますが、NHKでは他の仕事をすることは禁止でした。NHKは公共放送という立場もあるため、企業のイベントなどの司会もができないのです。

でも、このままではいつか契約が終了した時、全てを失ってしまうと思い、フリーのアナウンサー仲間に声をかけて、彼女たちのマネージメントをする会社を立ち上げることにしたのです。

本音を引き出すためにやるべきこと

――牛窪さんは『初対面の相手も、思わず本音をもらす アナウンサーの質問レシピ』(総合法令出版・刊)という本を出されています。多くの人が「相手の本音を引き出したい」と思っていますが、大切なコツは何ですか。

初対面でも、相手の方の最低限の情報は先に調べておく必要があると思います。ただ、それも限界がありますので、私がNHKの番組を担当していたときには、例えばある職人さんを訪ねた時などは、その方の作品や作業の様子などを見て、ビジュアルとして飛び込んできた実感を率直にお話しするようにしていました。相手と共感できるポイントを探して、お話しするわけです。
会社訪問の場合ですと、

「いまそこで御社の社員の方を拝見しましたが、とても礼儀正しくていらっしゃいますね」というような話から入るのもいいですね。

もちろん、これは時と場合によります。会話はキャッチボールですので、相手の言葉をよく聞いて、その相手の言葉からさらに深く掘り下げていくようにするといいでしょう。相手のことをどこまで真剣に考えているかが伝わると、相手もこちらを信頼して、いろいろなお話をしてくださるようになります。

――相手の言葉を聞くこと、聞き上手になることが大切なのですね。

「話し上手は聞き上手」と言います。例えば、営業の方ですと、どうしても自社の商品の話ばかりをしてしまいがちですが、それではなかなか信頼を得られません。自分をアピールするのではなく、相手が何を求めているのか、その要望に対して、自分は何ができるのかと考えるようにします。

「ポジション・チェンジ」という考え方があります。例えば自分と相手のポジションを入れ替えて、自分が相手の立場だったらどうかと考え、会話をしていくという手法です。人はみんな、価値観が違います。相手の価値観はどんなものか、自分はそれに対して何ができるか。それがわかって話をすると、相手の信頼が得やすくなります。

もう一つは、自分自身の第一印象をしっかりとコントロールするというのも大事です。「第一印象は5秒で決まる」と言われています。商談ならば、あいさつをして、名刺交換し終わったときにはもう決まっています。

――自分自身の第一印象を意識して仕事をしている人は少ないかもしれませんね。自分自身の第一印象をよくする方法はあるのでしょうか。

まずは身だしなみが大切になりますが、これはたいてい人が気を配っていると思います。次に気を配りたいのが、話し方や声のトーンなど、内容以外の部分です。

――なるほど。その、話のトーンなどの内容以外の部分のトレーニング法などはありますか。

自分の話を客観的に聞くというのは、とても効果的です。例えば、自身のプレゼンテーションをICレコーダーで録音して、あとで聞いてみるといいと思います。けっこう、自分の話し方の癖などがわかったりします。誰でもかんたんにできるので、おすすめです。

留守番電話でメッセージを入れたあと、自分がしゃべったメッセージをもう一度聞けますよね。それを聞いてみるといいです。意外に早口だったり、わかりにくい発音をしていたりというのがわかります。

――自分が話しているのを自分で聞くというのは、ほとんどの人がやっていないでしょうね。他には何かありますか。

話し方のテクニックではありませんが、人と会う前にはそれまで引きずっていた気分をリセットしておくということも大切です。例えば、直前に上司と口論になったとか、ノルマのことが気になってイライラしてしまっているとか、そのようなことは無意識のうちに表情や態度、話し方などに出てしまうものです。

もやもやした気持ちで人と会うとそれが相手に伝わってしまうので、その気持ちを切り替えてから人と会うことが大事です。私の場合は、よくカフェでおいしいケーキを食べたりします。気持ちをリフレッシュして、余裕を持って人と会うようにすると、笑顔一つ取っても表情が大きく変わりますから、相手の印象も全然違ったものになります。

――話す内容については、何かトレーニング法はありますか。

相手との会話を録音したものを文字に起こしてみると、内容を客観視できます。自分の相づちの打ち方までよくわかります。会話というのは、相手の言葉遣いに合わせて進めていくことが重要なのですが、文字にしてみると会話のすれ違いなどもよくわかるので、いい反省材料になります。

私もNHK時代によく自分のインタビュー映像を見ながら文字に起こしましたが、「どうしてここでこういうふうに言わなかったのかなあ」「似たようなシチュエーションになったら、今度はこういうふうに言おう」というように、いい反省ができたのを覚えています。

<第2回:経験のある人たちの価値観を変える方法>

インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太

投稿日:2013年2月20日
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