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[社長インタビュー第3回]
人をつなぐ新しいリーダーシップ
2011/4/22
株式会社日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)代表取締役社長 中野秀光
(インタビュアー:越石一彦)

前回は、中野社長がbjリーグに関わることになる経緯などについて伺いました。今回は、中野社長が考える地域振興、地方再生のキーワードなどについて伺います。
アルビレックスがここまでしてくれたのだから
――bjリーグを運営するうえでのモットーはありますか?
もともと、「地域を元気にする」というところから生まれたものですから、必ずそこが原点になります。これは小千谷でやった熊谷組やNBAのOBチームの経験がいきています。
どちらのときも、試合をする選手たちだけでなく、地元の人たちを主役にしようということでやりました。イベントを盛り上げるにはどうすればいいかについて一緒に考え、手作りでイベントを作り上げていったのです。
――何か、わかりやすい具体例はありますか?
これはアルビレックス時代の話なのですが、立ち上げ当初はスポンサー企業もなかなか集まりませんでしたし、試合会場を探すのにも苦労する状態でした。主に新潟市内を回っていたのですが、らちが開かず、わらをもすがる気持ちで小出町(現・魚沼市)という小さな町に行き、「ここでアルビレックスの試合をさせてもらえないですか?」とお願いしました。会場は1,000人程度の体育館でした。
すると先方は「中野さん、こんな小さな町にプロの試合なんて来たことがない。たいへんなことになるよ」と言うのです。「やっぱりダメですか」と尋ねると、「いや、ぜひやらせてください」と。あれ? 新潟市内の反応と全然違うぞと思いました。

――むしろ、待っていましたと。
そうなのです。こう言っては失礼ですが、普段の娯楽が少ない田舎のほうが喜ばれるのですね。「私たちアルビレックスは客寄せパンダでけっこうです。主役は地元の青年団、商工会、商店街です。前座試合や会場の出店などはすべて地元にお任せします」とお願いしました。
すると、地元の人が「ワンデースポンサー」という形で3,000円から1万円の協賛金集めに奔走してくれたのです。ある人は地元のスナックから3,000円の協賛金を得るのに、自腹で1万円飲んだり(笑)。
結果、1,500人の超満員でした。「孫が試合に出るから見に来てくれ」と20枚も30枚も買ってくれましたおじいちゃんもいました。子どもたちの入場シーンでも会場を暗くしてスポットライトをあてて、「何番誰々くん~」とアナウンスされている孫の姿をほほえましく見ている姿はいまでも忘れられません。
田舎でやる方が黒字になる
――それぞまさしく地元が主役。スポーツが地方を元気にしたわけですね。
新潟市内では「2,000人程度の会場じゃダメだ」と言われて、スポンサーもつかなかったのに、小さな町の1,000人弱の会場に1,500人が駆け付け、地元の力でお金も集めてくれたのです。それからは、小さな町にもどんどん回るようにしました。田舎でやる方が黒字になるという不思議な現象を体験することができました。
――地方の活性化、地方発のビジネスという発想でがんばっている人は多いのですが、結果を出せている人はまだ一握りです。何か、ヒントはありますか。
もし、私たちがただ試合だけをやって戻ってきてしまっていたら、数人のコアなファンは得られたかもしれませんが、本当の意味で地域の生活に入る込むことはできなかったと思います。
地元を主役にできたからこそ、地元の方から働きかけが出てきて、「ここにアルビレックスの後援会をつくりましょう」とか「子どもたちのためのバスケットボール・スクールをやりましょう」という話になりました。
また私は地域活性化のカギはお年寄りだと思っています。お年寄りが元気になると、次の4~50代の人も「この町に住んでいると、あんな元気のいいお年寄りにやれる」と思えるようになります。
一枚岩になりたい

――最後に読者にメッセージをお願いします。
私が常日頃からこうありたいと思っていることを申しあげますと、「一枚岩になりたい」ということです。一人ひとりの力はたいしたことはないのですが、みんなで目標を見つけて力を合わせるとうまくいくということを多くの人から学びました。
上に立つものにはリーダーシップが大事だと言いますが、私には先頭に立つタイプではありません(笑)。幹事役と言いますか、この人とこの人をつないでやってもらおうというタイプです。
だから、周りの人の言っていることを「これ、いただき」ともらって、別の人の言っていることももらって、その人たちをくっつけると大きなことができたということを何度も経験していて、それで今の私があると思います。
――人をつなぐ力というのは、いま新しいリーダーシップとして注目されています。
もう一つは、自分の考え方と違う考えの人の話を聞くのが大好きなのです。すぐに役立たせることはできなくても、あとで「あれが使えそうだ」と思えるときが出てくるものです。
小さな興奮でもいいので、それをコツコツ積み重ねていくと、それを共有する人たちが増えていって、気がつくと大きなことができてしまう。そんな体験をこれからも積み上げていきたいと思っています。
KOSHIISHI’S NOTE ~インタビュー後記~
スポーツの力
中野社長とお話ししていて、本当に「人が好きなんだなあ」とインタビュー中に何度も感じました。「人の喜ぶ顔が見たい」。「人を元気にしたい」。その強い気持ちが、bjリーグというプロバスケットを通じて、今実現してきていることにとても素晴らしい事業であると思いました。
地域密着でプロスポーツを運営することは本当に難しいことだと思いますが、形式だけではない、スポーツを通しての人と人との心のつながりを大切にしてきたことが今の成功につながっていると実感しました。
今回の東日本大震災で、被災された子どもたちとリーグの選手の方々がバスケットボールを楽しそうにパスしあう姿をニュースで見ましたが、言葉を交わさずとも、その瞬間の子どもたちの目の輝きは「明日への希望」を見るようで、とても心を打たれました。
このスポーツの力で、少しでも被災された方々に勇気を与えられたらと、切に願うインタビューとなりました。
株式会社クライアントサイド・コンサルティング
代表取締役社長 越石 一彦
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インタビュアー:越石 一彦




























