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[社長インタビュー第1回]
「振動力発電」は夢のクリーンエネルギーだ!
2011/9/28

クリーンエネルギーの本当の役割を探る
大震災を経て、私たちは深刻なエネルギー問題に直面している。代替エネルギーへの移行が叫ばれるなか、「まだまだ既存のエネルギーに取って代わるのは無理だ」との声も多い。しかし、株式会社音力発電の速水浩平社長は、その事実を認めながらも、今できることもあるという。すぐにできることの積み重ねが、エネルギー問題を解決する第一歩であり、最短の近道でもあるのだ。
音力発電は、慶應義塾大学の大学院生だった速水社長が2006年に設立したベンチャー企業だ。彼らが開発した「発電床」は、人が床を踏むときの振動エネルギーを電力に変換するという画期的なものである。人々のエネルギーへの意識を変え、新たなライフスタイルを提案したいという速水社長に、クリーンエネルギーの可能性と今後のエネルギー業界の行方について伺った。
エネルギーがムダに捨てられている

――東日本大震災を経て、私たちはいま電力エネルギーについて大きな岐路に立たされています。今日はたいへんユニークな発電技術で注目されている株式会社音力発電の速水浩平社長に、日本あるいは世界の電力エネルギーの未来像に関して伺います。さっそくですが、速水社長は電力エネルギーの将来についてどのような考えをお持ちですか?
現実的な話ですと、今後は原子力発電所を増やせないと思います。住民の理解を得るのが難しいし、今回の震災でわかったように、住民だけでなく国民全体の議論にならざるを得ません。
そうなると2つの方向性があります。1つは代替エネルギーの開発です。クリーンエネルギーを既存の発電方法に代わって利用するという方向です。ただし、まだ技術面での問題があって、すぐにすべてをクリーンエネルギーに代えるというのは難しいと思います。
もう1つは消費電力の削減となります。これにも2つありまして、1つは昔のような生活に戻って電力の便利さに頼らない生活をするというもの、もう1つはムダに使っていた電力を削減するというものです。
――便利なライフスタイルをあきらめて、昔のような生活に戻れますか?
難しいと思います。人間は一度快適なものを覚えてしまうと、昔の生活には戻れません。携帯電話がない時代に育った世代でも、いまや携帯電話を手放せないでしょう。冷蔵庫や洗濯機、掃除機、エアコンのない生活に戻れるのかと言えば、意志の強い一部の人を除いては厳しいです。
――とすると、ムダに使っていた電力を削減する、あるいは節電するという方法が最も現実的ですね。
実はもう1つありまして、これまでムダに捨てていた、あるいは捨てざるを得なかったエネルギーを効率よく回収して再利用するというリサイクルエネルギーという分野があるのです。弊社はその分野で社会に貢献できると考えています。
――ムダに捨てているエネルギーとは何ですか?
ムダにしているエネルギーはたくさんあります。例えば、自動車はエネルギーを大量に捨てながら走っている装置です。ガソリンがもともともっている力の半分も活用できていません。ムダにしているエネルギーがどこへ行ってしまうのかと言いますと、その大半が熱と振動です。これを効率的に回収できれば、エネルギー効率が上がり、省エネにつながります。
自動車に限らず、工場の機械が動けば熱と振動が発生します。人間が歩いても振動が起こります。これらはみんなムダになっているエネルギーです。実際、機械の振動で発電して、機械自身のモニタリング情報を無線で飛ばすといったことへの応用も考えています。
――大きな視点で見れば、地球上にあるエネルギーを効率よく循環させる「循環型社会」の実現が、エネルギー問題の解決のカギになりそうですね。
そうです。ただし、いきなり大きく変えることはできませんので、身近なものから少しずつ始めて、大きなことへ発展させればよいと思っています。時間はかかりますが、それが最も現実的ですし、着実に歩を進めることこそが一番の近道だと思っています。
「音力発電」は小学生からの夢だった
――御社は非常にユニークな発電技術を使った製品を開発されています。省エネ、節電という視点で今後、大きな注目を集めると思いますが、具体的にはどのような製品があるのですか?
最初は社名にもなっている「音力発電」、音で発電するというところからスタートしました。音というのは空気の振動です。研究を進めていくなかで、音に限らず振動するものであれば何でも発電できるということがわかってきました。
音から振動まで開発の範囲を広げた結果、応用の幅も格段に広がりました。「音力発電」から「振動力発電」へと進化したことで、電力の大きさだけでなく用途も多様化したのです。弊社の製品に「発電床」があります。人が床を踏んだ振動で発電するのですが、すでにいろいろな場所で利用されています。
――具体的にはどのような場所で利用されているのですか?

発電床 新江ノ島水族館
「発電床」は、商業施設や水族館などで導入されています。人が歩くと床の誘導灯が光るフットライトや振動で装飾灯が輝くイルミネーションに使われています。
――「発電床」というのは、どのような仕組みで発電しているのですか?
圧力を加えると発電する「圧電素子」というものがあります。100円ライターとかガスコンロの着火剤に使われているものです。私どもが使っているのは、100円ライターよりももう少し大きな圧電素子で、これを拾って発電しています。
――そもそも、音とか振動で発電をしようと思われたきっかけは何だったのですか?
私が小学校の頃にさかのぼります。理科の授業で「発電機とモーターは同じ。モーターは電気で回るが、逆にそのモーターを回せば発電できる。」と習いました。そのとき、「同じことがスピーカーでもできるんじゃないか?」と思いました。つまり、通常は電気を流してスピーカーから音を出しますが、逆に音をスピーカーに伝えることで電気が作れるのではないかと考えたのです。
この考えを、小学校から温めて、大学2年生のときに音で発電する研究を始めました。小さい頃から考えていたことを実現できるかもしれないとわくわくしました。そして、音力から振動力による発電に広げていったのです。
次回は、「音力発電」「振動力発電」が現在、どのような形で利用されているのかなどについて語っていただきます。
<続く>
インタビュアー:越石一彦、構成:木村俊太




























