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第1回 知らないと困る!著作権の基礎知識

著者:   乾 利之


知らないと困る!著作権の基礎知識

なにかと話題の著作権。著作権の基本的なことを理解しておくと、現在の問題や話題が良く理解できます。

最近、テレビや新聞で「著作権」がよく話題になっています。近々では、オリンピック・エンブレム、TPPやエイベックス社のJASRAC脱退等が大きく取り上げられています。

オリンピック・エンブレムでは、図形デザインが問題になっていました。当初、商標の問題で始まりましたが、著作権の問題になりましたね。
TPPでは、著作権の期間が問題になっていました。TPP交渉で最後までモメていたので印象に残りましたね。
エイベックス社のJASRAC脱退では、楽曲の著作権の管理が問題になっていました。音楽という身近な問題ですので関心のある方も多いのではなないでしょうか。
 
最近、なにかと話題の著作権。でも図形デザインだったり、キャラクターだったり、楽曲だったりと、色々な分野の話が出てきます。また、一言で「著作権」といっていますが、著作権には色々な種類の権利があります。著作権の期間については、何となく長そうだな、というイメージをお持ちかと思います。

著作権の基本的なことを理解しておくと、現在の問題や話題が良く理解できます。ポイントについてご説明していきます。

著作権が発生するのはどんな分野?

「著作権」は様々な分野で発生します。「著作権」とは「著作物」に関する権利です。「著作物」は、(かたい話をしますと)著作権法において「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と規定されています。ですので「著作権」といっても、様々の分野の著作権があるのです。オリンピック・エンブレムは、図案デザインの著作権の問題でした。エイベックス社がJASRACを脱退したのは楽曲の著作権の管理です。映画や漫画についても良く著作権が話題になります。最近ではWebコンテンツの著作権に関する問題も多くなっています。

また、異なる分野の著作権が複合的に発生することもあります。例えば、楽曲では、作詞と作曲の著作権が発生します。よく作詞〇〇、作曲〇〇と記載されていますが、これはそれぞれに著作権が発生し、それぞれが著作権者であることを示しています。また、映画では、映画自体と楽曲(音楽+詩)の著作権が発生します。映画については、詳しくは説明しませんが、実際にはもっと複雑です。

このように、著作権は様々な分野で発生します。

「著作権」の種類は?

一言で「著作権」といっていますが、「著作権」には実は色々な「種類」があります。
一般的な視点で整理してみましょう。(1)誰の行為により発生する著作権か?(2)どんな役割の著作権か?というような視点で整理します。

まず、(1)誰の行為により発生する著作権か?という点ですが、大きく「著作者」と、「実演者」にわかれます。「著作者」は文字通り「著作(創作)」した者ですので「著作権」を有します。更に、「実演者」の「実演」という行為(表現)にも限定的ですが「著作権(著作隣接権とよばれています)」が生じます。例えば、マイケルジャクソン(ちょっと古い?)のCDは毎回大ヒットしましたが、これはマイケルジャクソンが歌ったからですよね。このようなマイケルジャクソンの「実演」についても著作権が生じるのです。

次いで、(2)どんな役割の著作権か?という点ですが、「著作権」には色々な「種類」の「支分権」というものが含まれています。「支分権」の代表的なものは、「複製権」、「公衆送信権」、「頒布権」、「譲渡権」、「翻案権」等です。詳しくは、第2回でご説明します。

また、著作者のみに生じる「著作者人格権」があります。代表的なものとして「同一性保持権」があります。著作者の意に反して勝手に著作物を変更することを禁止する権利です。よくベテラン歌手と作詞・作曲家との間で「一部を勝手に変えた!」と問題になるのが、この権利についてです。

著作権の期間はどのくらい?

著作権の期間については「長い」というイメージがありませんか?著作権の期間は、「死後50年」です。生前+死後50年ですので大変長いですね。さらにTPPで「死後70」までということになったようですので、更に20年延びることになります。これは、キャラクターや個人著作の映画等で、現在でも大変人気のある著作物の著作権をできるだけ延ばしたい、というビジネスサイドからの大変強い要望があるからです。著作権はビジネスと密接な関係があるのです。

今回のポイント

ポイント(1) 著作権は色々な分野で生じます。

ポイント(2) 著作権には様々な種類の支分権があります。

ポイント(3) 著作権の期間は「死後50(70)年」です。

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著者プロフィール

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乾 利之

企業の知財部員、特許事務所のパートナー弁理士として活躍後、IPNJ国際特許事務所を設立。弁理士、行政書士、MOT(技術経営修士)。知財コンサルティングや経営戦略・事業戦略立案の支援業務に注力している。

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