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第1回 マーケティング戦略の基礎知識

著者:株式会社S.K.Y. 代表取締役  中田 仁之


マーケティングとは?

マーケティング、と聞くとなんだかすごく難しそうな、専門的なイメージをお持ちの方が多いと思いますが、一言で表すと、『大切な商品やサービスを上手に表現し、より多くのお客様に届ける活動』と言えます。最もベーシックなものは「何を(商品)」「誰に(お客様)」「どこで(地域・売り場)」を決定する作戦、と考えることができます。全4回のコラムを通じて、『マーケティング戦略体系図』をご自身で作れるようになることをゴールに、第1回では、マーケティング戦略を立てるために必要な要素について、用語の解説を中心にお伝えします。

マーケティング戦略体系図

まずはこちらのフォーマットをご覧ください。

マーケティング戦略を立てる上で重要なことは「戦略テーマを決め、そのテーマに従って(ブレずに)各種の戦略を決定していく」という考え方の順番です。戦略テーマを決めないまま開発は製品戦略を、営業は営業戦略を、とそれぞれが自身の範囲で立案したら・・・結果は明白ですよね。そして、戦略テーマを決めるために必要な要素として、「市場概況」「SWOT分析」等があります。マーケティングにはたくさんのフレームワークが存在しますが、ここでは上記のフォーマットに基づき進めていきます。

市場概況とは

新しい商品・サービスを生み出すにあたり、まずマーケット(市場)について確認します。詳しくは第2回目で解説します。今回は用語の定義・解説をいたします。

  1. マクロ環境の分析
    マクロ環境分析とは「自社ではコントロールできない、企業活動に影響を与える外部環境要因を分析すること」です。一般的にはPEST(Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術))に関し、自社の事業に関係の深い重要な要因や環境変化を分析していきます。
  2. 業界動向の分析
    より正しい結論を導くためには、自社を取り巻く経営環境を正確に分析しておく必要があります。業界の動向は、経営の方向性を定めるために、常に十分に把握しておかなければなりません。業界の動向を把握する方法としては、まず既存のデータや各種メディアの活用が考えられます。一般の新聞雑誌はもとより、業界紙、専門誌、また官公庁、業界団体、金融機関などが発表している統計データやレポートも重要な情報源です。こうした情報は、最近ではインターネットで比較的容易に入手できるようになっていますから、積極的に活用し情報収集を行います。
  3. ユーザーの分析
    外部環境の1つである「顧客」について調査・分析します。質的な豊かさが強く志向される21世紀の消費の特徴は、「多様性」や「異質性」です。「消費の多様化」や「顧客の多様化」というフレーズは、現代の消費者を語る文章において、枕詞のように出てきます。
  4. 競合動向の分析
    誰が競合か、競合のバリューチェーンや技術・ノウハウ、財務状況、シェア、商品ラインナップなどを調査・分析します。近年では、組織や人材などが競争優位性の源泉となるという認識から、人的資源の特徴や企業文化なども競合分析に含める場合もあります。競合分析に当たっては、現在の競合はもちろんのこと、潜在的に競争する可能性のある新規参入者や代替品についても意識しておくように心がけましょう。
  5. 内部の分析
    文字通り、自社の分析をします。必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)はあるか、対応する組織は整備されているか、自社の持つ強み・弱みについて分析します。

SWOT分析とは

市場概況で分析した様々なデータを整理し、SWOT分析いたします。
SWOTのSとWは内部環境で、S(Strength=自社の強み)W(Weakness=自社の弱み)を表し、OとTは外部環境で、O(Opportunity=市場の機会=チャンス)、T(Threat=市場の脅威=ピンチ)を表します。そして、内部環境と外部環境の区分は「自社がコントロールできるかどうか」で判断することがポイントです。詳しくは第3回目で解説します。

  1. S=強み
    競合と比較して優位性のある点は何か?能力・技術・ネットワークなど、自社のよりどころとなる資産は何かを考えます。
  2. W=弱み
    競合と比較して見劣りする部分があれば、それをいかにして克服するか、強みに変えられないか、無効化できないかを考えます。
  3. O=機会
    目標達成に向けて「追い風」となるような外部の環境要因はあるでしょうか?チャンスがあれば、それをどう掴むのか、どう活かすのかを考えます。
  4. T=脅威
    一方で目標達成に向け「障害」となるような外部の環境要因も洗い出します。外部からのリスクが大きければ、どのように避けるのか、弱めるのかが検討の主眼になります。

戦略テーマとは

市場の概況を分析し、その結果をSWOT分析へと落とし込むことによってはじめて、「戦略テーマ」が導き出されます。戦略テーマはより具体化される各種戦略(商品戦略・価格戦略など)の上位に位置するものであり、全体を一気通貫で串刺しにする言葉、となります。「具体的な箇条書きのビジネステーマ」を意識して作成することがポイントです。詳しくは第4回目で解説します。

今回のポイント

ポイント(1)

マーケティング戦略のカギは「戦略テーマ」。まず戦略テーマを決めて、テーマに従った各種戦略を。

ポイント(2)

市場概況は既存のデータや各種メディアなどの「オープンデータ」を有効に活用すること。

ポイント(3)

SWOT分析において、内部環境と外部環境の区分は「自社がコントロールできるかどうか」で判断すること。

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著者プロフィール

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中田 仁之

株式会社S.K.Y. 代表取締役

2012年株式会社S.K.Y.を創業、販売促進・売上拡大を柱としたコンサルティング事業を開始。2015年より飲食店の経営も開始。また中小企業診断士登録、様々な業種の経営支援・経営指導に従事。

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