損失を回避する免責事項の書き方ガイド

第1回 そもそも免責事項は何のためにあるの?

2014/6/4

新宿西口総合事務所
代表司法書士 藤井和彦

損失を回避する免責事項の書き方ガイド
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「○○について、当社は一切の責任を負いません。」

皆様がこの「bizocean」のようなウェブサービスを利用するにあたって、よく利用規約を参照の上同意を求められることがあると思います。その中に必ずといっていいほど記載されているのが「○○について、当社は一切の責任を負いません。」というフレーズです。こういった、当事者の一方又は両方が責任を負わないことを明言した部分を「免責事項」といいます。今回から4回にわたって、この「免責事項」をご説明していきますが、初回は免責事項がどのような法的効力を持つのか、という点についてお話ししていきたいと思います。

前提知識として、「契約」の定義を再確認

早速免責事項についてお話ししたいところですが、その前に「契約」について押さえておきたいと思います。契約とは簡単に言いますと、当事者同士で取り決められた約束のことです。そして契約の内容は法律によって保護されることになります。基本的には契約はお互いの意思の合意によって成立します。契約を結ぶと契約当事者間には権利と義務が発生します。では契約はいつ成立するのでしょうか?民法では契約は「申込み」をして相手が契約につき「承諾」した際に初めて成立するとしています。また、契約は契約書を結んで行うものと思いがちですが、別に契約書が存在しなくとも、口頭でも契約は成立します。ただし契約にはあくまで両者の意思が合致する必要があります。

免責事項も「契約」に相当する

たとえばウェブサービスを利用する際にも、実は契約が交わされています。それが利用規約を提示することにより契約の「申込み」を行い、それに同意することによって「承諾」したという形を使った「約款による契約」です。そして、民法は「契約自由の原則」という、契約の内容は原則当事者間の意思にまかせるというスタンスを取っているので、法律上絶対に守らなければならない「強行規定」でない限り、当事者間の合意が優先されます。それを踏まえて、民法上の規定に寄ると責任を負わなければならないことであっても、規約上に責任は負わないものと定めることによってそれを実現させるための条項が「免責事項」にあたります。ですので「免責事項」は立派な契約内容の一部と捉えることが出来ます。

免責事項はトラブル回避の一手

たとえば、「bizocean」で書式をダウンロードする際には必ず「利用規約に同意してダウンロードする」というボタンをクリックして実行します。これはサービスを利用する側があらかじめ利用規約を読んだことを前提とした上で書式を利用する契約を結んでいるということにするための方法です。そしてその利用規約の中に免責事項が含まれていることにより、後で利用した結果損害が発生したとしても、その原因が免責事項に含まれるものであれば、サービス提供者は損害を賠償する責任を負わなくて済むということになります。したがって、サービス提供者にとっては、損害賠償などの責任を負うのを免れたり、トラブルの早期解決を目指すためには、免責事項は自らの利用規約には必ず入れておくべき内容になります。ただし、免責事項に入れておけば何でもOKというわけではなく、公序良俗に反する内容などは免責できません。

「bizocean」の免責事項を見てみましょう

それでは、最後にbizoceanで書式をダウンロードする際の免責事項を見てみましょう。書式のダウンロードページの下に「■書式の王様の利用に関する同意事項■」という部分があります。スクロールしていくと全部で6条からなりますが、そのうち5条は免責事項にあたります。「5.本サービスの利用に関し、トラブルが発生した場合、利用者又は第三者に損害が生じた場合であっても、本サービスが利用者の自己責任のもと利用されるものであることに鑑み、弊社は、損害賠償その他一切の責任を負担致しません。」あくまで本サービスは一般的な書式を無料で提供するものですから、それを超えた利用をされた結果損害賠償責任を負うと損益的にはマイナスになりますので、そのようなことにならないよう免責事項としています。

ポイント①

「免責事項」とは契約当事者の一方又は両方が責任を負わないとあらかじめ明言した内容

ポイント②

利用規約に「免責事項」を置くことにより契約の内容になる

ポイント③

免責事項はサービス提供者にとってリスク回避やトラブルの早期解決に役立つ

<続く>

提供元:ドリームゲート

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