万が一に備える借用書の書き方ガイド

第3回 貸したお金を返してもらう可能性を高める借用書

2014/4/17

新宿西口総合事務所
代表司法書士 藤井和彦

万が一に備える借用書の書き方ガイド
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借主に「返さなければ」と思わせるポイントを押さえよう

第2回では、借用書に必ず書かなければいけないことをご説明いたしました。最低限これだけ書いておけば、たとえ裁判になっても裁判官はお金の貸し借りがあったことを認めてくれるということです。しかし、裁判で認めてもらったとしても、お金を返してもらわなければ何の意味もありません。法律では借主の財布から無理やり貸したお金を回収することは認めておりません。しかし、借主が返さなければいけないと思うような状況を作ることはできます。今回はどうすればそのような状況を作ることができるのか、2つのポイントを中心にご紹介しましょう。

(契約書雛形)借用書

返済遅延時に「期限の利益」を失わせる

一つ目のポイントが、「期限の利益」です。前回ご説明のとおり、借用書には返済期限の記載が必要になります。一度にまとめて貸したお金を返済してもらうのであれば、返済期限の日に借主はお金を返済しなければなりませんが、たとえば住宅ローンのような、数回に渡って少しずつ返済するという方法をとることがあります。この場合、まだ返済期限が来ていない金額については、返済する必要がないという利益を借主は持っていることになり、これを「期限の利益」といいます。しかし、借主が返済期限に遅れた場合、貸主は今後きちんと返済してもらえるか不安になってしまいます。その不安を解消する方法として、一度でも返済が遅れた場合に「期限の利益」を失わせることを明記しておき、返済期限が来ていなくても全額の返済を請求できるようにしておくのです。

借主以外も巻き込んで返済を確保する

もう一つのポイントは、「連帯保証人」です。貸主にとっては、貸してあげたいけど借主が返済してくれるか心配になることもあります。この場合、借主の周りに代わりにお金を返してくれそうな人がいれば、その人に返済してもらえるとなると心配も減るでしょう。そういったときはその人に「連帯保証人」として借用書に一緒に名前を書いてもらいます(口約束だけでは連帯保証は無効です)。連帯保証人は、借主の代わりにお金を返す義務があります。たとえ、借主が返済可能な状態であっても、借主が返済の期限に返済しない場合、連帯保証人は貸主に対して返済をしなければなりません。なお、ただの「保証人」ですと、保証人に請求しても、借主が返済不可能な財政状態でなければ借主に支払いを求めるよう保証人は貸主に主張できてしまい、保証人をつけた意味がほとんどなくなってしまうので、ご注意ください。

借用書の文例に盛り込まれた2つのポイント

今回取り上げた借用書では、「期限の利益」が3.に、「連帯保証人」が4.に書かれています。3.では、利息が支払われなかっただけでも、元本含め全ての金額の返済が義務付けられることになります。そして、4.では、連帯保証人は連帯して履行の責を負うとしており、借主と同じ立場で返済の義務を負うことになっています(連帯保証人が返済した場合、借主は返済義務を免れるわけではなく、請求があれば連帯保証人に返済した額を支払う必要があります)。そして連帯保証人も当事者として、最後に名前を書いて印鑑を押すこととしています。ここで押す印鑑は、確かに本人が押したという確認のため、借主・連帯保証人共に実印で押してもらいましょう。さらに印鑑証明書までもらっておけば、より安全です。

返してもらう可能性を高める他のコツは?

今回取り上げた「期限の利益」「連帯保証人」の他にも、借主にプレッシャーを与えて返済の可能性を高める方法はあります。ひとつは、借主の持ち物を担保に取る方法です。たとえば不動産を持っている場合は、その不動産に抵当権を設定してその旨登記をしておくと、借主が返済してくれなかった場合に返済を求める裁判を起こすことなく、その不動産を裁判所を通して差し押さえてしまうことができます。そして貸主は差し押さえた不動産を売って現金化することができます。借主が不動産を所有していない場合でも、借主が所有している物、例えば商売道具などを借主にそのまま使わせるものの、その物の権利だけは貸主に移してしまう「譲渡担保」という方法もあります。譲渡担保では、借主が返済してくれなかった場合はその物を貸主が回収して自分の物にし、これを売ることによって現金化することができます。

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<続く>

提供元:ドリームゲート

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