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第3回 社員が納得する 数値計画の作り方

専門家に学ぶ!シーン別事業計画書の書き方

著者:イシズエワークス株式会社 代表取締役  齋藤 雄三

多くの企業が頭を悩ませる問題が、折角苦労して作った計画や予算に対して、社員全員には納得してもらえないということです。

営業であれば、高過ぎると感じる売上目標に尻込みし、スタート前から達成は無理だと諦めムードが漂うことも少なくないでしょう。

なぜ、そのように感じてしまうのか?

それは、数字が表す「意味」や「根拠」が伝わっていないことが大きな原因です。そして、さらには、前年実績を根拠に売上目標から順に計画を立てていることも原因の一つです。

今回はありきたりな数値計画の書式を用いた「作り方」の話ですが、「どうすれば全員が納得できる計画を作れるか?」ということをメインにお伝えしていきます。


勝負はスタート前に決まっている

先述したように数値計画というものは、なかなか社員の理解を得にくいものです。更にそれを納得して共感してもらう、と言うのは不可能ではないか、と思われるのも現実問題からすれば仕方のない事かもしれません。ただ、それを解決する方法として、計画の「意味・根拠」がしっかりと伝わっているかをまずは見直してみて下さい。
前回お伝えした「社長の言葉」にそれがしっかりと盛り込んであるという事がまず前提です。そして、その上で実際に数値計画を作成する段階で、社員と共に意味や根拠を伝えながら作り上げていく事が重要です。

売上目標ありき、にならない為の計画の立て方

会社にとって売上は分かり易い指標ですが、売上を上げることの根拠だけでは理解を得にくいものとなってしまいます。では、他にどのような方法で計画値を決めていけばいいのか、いくつかのパターンがありますので、実際に計算してみていただければと思います。

・「一人あたり人件費」から逆算

平均人件費を業界の最高水準にしたい、そして社員の経済的な豊かさも実現させてあげたいそう思われる社長の夢と社員の直接的なリターンとが合致する分かり易い方法です。

・「借入返済・再投資の原資確保となるキャッシュフロー」から逆算

最終利益から逆算して、営業利益率、粗利率で割り戻していくパターンです。経営を安定的に継続させるための最低限の計画値はこれで算出できます。

他にもある「根拠のある数字」を作るパターン

・「労働分配率」から逆算

細かく言えば算出方法は複数ありますが、一番分かり易い「人件費/粗利」で算出される労働分配率を用いたパターンです。先ほどの「一人当たり人件費」に近い感覚ですが、より「値下げに対する抑止力」や「原価削減」などの期中の改善活動に直結しやすいものになります。昇給を実現するには粗利アップが必須、という実態を理解してもらい易い計算方法となります。

実際には、これらを複合的に組み合わせて作り上げていく必要がありますが、重要な事はタダでさえ「冷たい」数字に、意味のある、温かいストーリーを加えていくという作業が必要になります。

言葉を再定義して、数字に意味を持たせる

かつて「ワタミ」の渡邉社長(当時)は、「売上はお客様からの”ありがとう”の総和」と言う言葉の再定義をしていました。(発言内容は正確ではないかもしれません・・・)同じように、あなたの会社においても、「売上」「粗利」「固定費」「人件費」「営業利益」等を再定義して、その言葉と数字に意味を持たせていく事が重要です。例えば私は、最終利益とキャッシュ(資金)を、まず会社が存続して「発展」していくための、必要最低限の原資であると定義してお伝えしています。それが不足すれば、そこに集う社員の生活やお客様への貢献が継続できなくなる、という負の意味合いも踏まえて、そう伝えています。「意味」と「ストーリー」、これを付加することで、数字に命が吹き込まれるのです。

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著者プロフィール

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齋藤 雄三

イシズエワークス株式会社 代表取締役

全業界対応の横割りスタイルで、視野を広げたキャリアビルディングを支援しています。人を活かすキャリアカウンセリング・コーチング・経営コンサルティング。

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