近年、食品偽装やリコール隠し、不正会計など企業内の不正行為がニュースに取り上げられることが増えています。そして、これらの事件が発覚するきっかけは、従業員等の内部告発によるものが多いのも近年の傾向です。
そして、このような内部告発した従業員が、後に解雇されたり、職場で様々な不利益を受けることもよくあるようです。
今回は、このような内部告発への対応について解説していきます。

1 公益通報者保護法

「社内の不祥事とはいえ、従業員には秘密保持義務があるわけですから、リークした従業員を懲戒処分することはできますか?」

「一定の場合、不祥事をリークしたことを理由に懲戒処分をすることはできません。
公益通報者保護法は、一定の条件の下、公益目的で企業内の違法行為を外部に公表した従業員に対し解雇などの不利益を与えることを禁止しています。
この法律は、不祥事をリークした従業員を企業の報復的な解雇から保護することにより、従業員が解雇などの不利益を恐れずに企業内の違法行為などを通報できるようにすることをねらいとしています。」

「どのようなメリットがあるのでしょうか。」

「この法律により企業内で発生した問題が重篤化する前の通報を促すことで、問題が早期に是正されるという効果が期待されています。
例えば、『基準値以上の毒性を含む廃液を垂れ流している工場がある場合、重篤な公害問題に発展する前の段階で通報を行う機会が保護されていれば、初期の段階で公害対策に取り組むことが可能となり、国民の健康を守ることができる』といったものが公益通報者保護法の意図するところと言われています。」

2 企業における心構え

「では、従業員が外部にリークする前に、会社としてしっかりと対応しなければならないということですね。」

「その通りです。全ての外部リークが許されるわけではなく、法律は『上司やしかるべき部署に違法行為を報告したにもかかわらず、放置されたり、取り合ってくれなかった場合』に限り、必要な範囲において外部にリークすることを保護しています。したがって、外部にリークされる前に、従業員からの報告に対ししっかりと向き合って解決する姿勢を示すことが肝要です。」

「具体的にはどのようなことをすればよいのですか。」

「『報告先』を社内の誰かとすると“もみ消し”をおそれて、かえって従業員が萎縮してしまう可能性があるので、弁護士など社外の第三者に『通報窓口』を設置するなどして、報告をし易い環境を整えることが大切です。」

「先生のところでもできますか。」

「はい。現在も複数の一般企業や官公庁から委託を受けて『通報窓口』業務を担当しています。」


投稿日:2016年3月28日
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  • 筆者プロフィール
山岸 純

山岸 純

弁護士法人ALG&Associates
執行役員・弁護士
早稲田大学卒業、東京弁護士会所属。
東京弁護士会公益通報者保護特別委員会副委員長、東京三会公益通報者保護協議会委員、宮内庁外部通報窓口を務める。
企業法務関連の法律業務、特に特定商取引法、景品表示法、不正競争防止法を得意とし、通販・訪販業界に関する法律業務に広く携わっている。また、企業のインターネットトラブル対策に関連するセミナーや執筆も多数行っている。
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